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統率者戦(EDH)をやろう!

布教記事を書いてる間にサークル会員が続々と統率者戦(EDH)を始めててこの記事の存在意義を見失いつつある広報のカエルです。

今日はMTGの特殊ルールである統率者戦について紹介したいと思います。

遊戯王のアニメオリジナル回でデッキマスターを使ったデュエルがありましたよね?それとちょっと似ているのがこの統率者戦です。数あるカードの中から自分で選んだデッキのリーダーが様々な場面、様々な形で力を貸してくれるのです。

また、あとで詳しく説明しますが、このルールならスタン落ちを気にしなくていいどころかMTGに存在するあらゆるカードを使えるので、個人的にはスタンダードの次のステップとしてモダンと同じくらいオススメです。

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統率者戦(EDH)とは!?

統率者

ルールの名前にもなっている「統率者」とは、先程も書きましたがデッキのリーダーのような存在です。例外はいくつかありますが、統率者に設定できるのは伝説のクリーチャー1枚のみです。統率者はいつでも何度でもプレイし直せる一方で、デッキに使用できるカードを縛る役割も持っています。

まず、「いつでも何度でもというプレイし直せる」ことに関して詳しく説明していきます。統率者はゲームの開始時には統率者領域という場所に置かれています。統率者領域は手札でも戦場でもデッキでもない公開領域で、干渉されることはまずない特別な領域です。そして、コストとタイミングが許すならいつでもその統率者領域から自分の統率者をプレイできるのです。加えて、除去などによって統率者が墓地や手札などに移動する場合、代わりに統率者領域に戻すことを選べ、そうして戻った統率者は再びプレイし直すことができます。ただし、統率領域からプレイする場合は、「今までに自分がその統率者を統率領域からプレイした回数」×2マナが余分にかかります。この追加コストを俗に統率者税と呼びます。考えなしにプレイしまくると統率者税だけで10マナの支払いが必要なんてことになりかねないので注意が必要です。

ある特定の1枚がサーチ不要かつ再利用がしやすいというこのルールの特性上、様々なコンボを主軸としたデッキ構築やプレイングが統率者戦の基本となっています。

デッキの構築制限については次の項で詳しく書きますが、ざっくり言ってしまえば、統率者戦のデッキには統率者と同じ色のカードしか使えないのです。出しやすい単色の統率者を選べばその分デッキの幅が狭く、派手な多色の統率者を選べばその分安定性が低くなってしまいます。

構築ルール

冒頭でも言及しましたが、MTGに対するイメージとしてよく挙げられるスタン落ちは統率者戦には存在しません!いちいち使用するカードの更新をしなくていいのです!そして、こちらも言及済みですが、なんと、MTGが発売開始してから今までのほぼ全てのカードを使える(統率者戦禁止カード除く)のです!コレは気楽!他のフォーマットでは禁止制限以外にもいちいち発売時期を調べて本当に使えるか調べないといけませんが、統率者戦はそんなことをする必要はありません。ほんの短い禁止カードリストを念のためチェックするだけ!ショーケースの中の使いたくなるようなカードは大体どれも使えると言っていいでしょう。

しかし、統率者戦には大きく分けて3つの通常とは異なる構築ルールがあります。1つ目が直前に触れましたが、統率者の固有色(マナ・コストやテキストに書かれたマナ・シンボル*1の色)ではない固有色のカードの使用禁止(無色は使用可)。2つ目が統率者を含めてデッキを100枚丁度にすることの強制。3つ目が基本土地以外の同名カードの複数使用禁止です。

他の2つについてはともかく、固有色に関しては少しわかりにくいかもしれないので、いくつか具体例を見ていきましょう。

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例えば、「法務官の声、アトラクサ」を統率者に設定したとします。アトラクサはカード右上に記されたマナ・コストに緑、白、青、黒が指定されており、テキストにはマナ・シンボルが何も記されていないので、固有色は緑、白、青、黒の4色となります。つまり、黒の「破滅の刃」のような赤ではないカードはデッキに入れることができるのです。一方で、赤単色のカードはもちろん、赤を含む「木端微塵」のようなカードは入れられません。

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次の例です。「タズリ将軍」の固有色は何色でしょうか?マナ・コストには白しか使用されていないので、白のみかと思うかもしれませんが、正解は白、青、黒、赤、緑の5色です。テキストをよく見ると、一番最後の能力の起動コストとして、白、青、黒、赤、緑の5色が指定されています。これらの色も固有色の判断材料として扱われるのです。

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最後に土地の固有色について説明します。ルール上土地は無色のカードとして扱われますが、それと固有色の問題は全く別です。タズリ将軍の例で書いた通り、固有色はカードテキストによっても左右されるからです。

まずは「山」ですが、このカードの固有色は赤です。山にはテキストに記載された色どころかテキストそのものが存在しませんが、これは単に「山をタップすると赤マナを出せる」ということを省略して書いていないだけです。よって、実際は赤マナを含むテキストを持っているために、固有色は赤となります。

続いて「ラノワールの荒原」ですが、お察しの通り固有色は黒と緑です。こういった2色以上出せる土地は便利ですが、統率者の固有色にそれらの色が全て含まれていないと使えないので注意しましょう。

最後に「マナの合流点」です。このカードは5色なんでも出せる土地ですが、固有色は5色ではなく実は無色なため、どんなデッキにも入れることができます。なぜかと言うと、テキストに具体的な色のマナ・シンボルが記載されていないからです。

対戦ルール

統率者戦はカジュアル色の強いルールのため各コミュニティによって細かい違いが存在しますが、すべてに言及するのは大変なのでだいたいどこでも適用されるものを紹介していきます。

まず対戦人数ですが、4人によるバトルロイヤル形式が基本です。それ以外の人数でもできますが、コンボデッキが多い統率者戦の特性上、2人対戦はバランスがかなり大味になってしまうので止めておきましょう。

次に、 勝敗に直接関わる部分についてです。統率者戦は通常のMTGの倍の初期ライフ40で行います。しかし、敗北条件の1つである毒カウンター*2による敗北は、通常のMTGと同様の10個です。また、敗北条件に「同一の統率者からの累計戦闘ダメージが21以上になる」が追加されます。

最後に、ゲームの始め方についてです。通常のMTGでは、ゲームの開始前に「手札(初期枚数は7枚)を確認し、望むなら全てデッキに戻してシャッフルし、1枚減らして引き直してもう一度確認する」という手順のマリガンを初期手札が0枚になるまで繰り返せます。ところが、デッキ枚数の多い統率者戦では少し変わったマリガンを行います。1回目のマリガンだけは、引き直したあとも手札を7枚のままにできるのです。ちなみに、通常のMTGでは1回でもマリガンを行った場合は占術1*3を行えますが、統率者戦では基本的に2回以上マリガンを行った場合にのみ占術1を行います。これは、マリガン後の占術のルールが厳密には「マリガンによって初期手札が最初よりも少なくなった場合は占術1を行う」と定められているからです。そして、ちょっとややこしいのがこの次の話です。通常のMTGでは手札を全てデッキに戻してシャッフルした上で引き直す所謂「戻しマリガン」ですが、統率者戦では手札を全て脇に除けた上でシャッフルせずに引き直す「除けマリガン」を行うこともあります。除けマリガンの場合は手札が確定したあとに除けておいたカードを全てデッキに戻してシャッフルする行程が占術1の前に挿入されます。これら2つのマリガンの内どちらを適用するかは対戦卓によって変わるので気を付けてください。

おっと、忘れる所でした。統率者戦では先攻1ターン目のドローはあり(通常のMTGはなし)です。しっかり先攻からアドバンテージを取っていきましょう。

 

カエルのオススメ統率者

統率者戦に興味を持ってくれた人のために、比較的最近のカードで統率者にオススメなものを5枚ピックアップしてみました。

遵法長、バラル

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なんと言っても軽い!すぐ出る!採用しているカードによってはなんと1ターン目に出せます。打ち消し(無効化)で相手の即死コンボを回避し、ドローでデッキを掘り進めてこちらのコンボパーツを回収しましょう!

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サファイアの大メダル」や「原初の呪物」、「不滅の太陽」といったコスト軽減カードは必須レベルです。重いドローカードを連打できるようにしないと息切れして死にかねません。

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代表的な勝ち筋としては、「全知」と「無限への突入」、「運命のきずな」を使った無限ターンコンボが挙げられます。場に存在し続ける限りどんなカードのマナ・コストも踏み倒せる全知によって無限への突入を踏み倒し、運命のきずなをはじめとする追加ターン呪文を連打して相手にターンを回さずにゲームを進めるのです。

永遠の大魔道師、ジョダー

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「パワカ投げまくりたいじょ~」な人は「永遠の大魔道師、ジョダー」がオススメだじょ~。なんと白、青、黒、赤、緑の5色をピッタリ支払えばどんなコストの重いカードも踏み倒せてしまいます。主な踏み倒し先には先程触れた全知が挙げられますが、5色カードのため、他にも色々使えます。

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基本的には単純にコストが大きなカードを踏み倒すことになるでしょう。エルドラージ三柱とも呼ばれる伝説のエルドラージ達*4MTGの数あるカードの中でも代表的なファッティです。久遠の闇から生まれし異形の神々の力で対戦相手を粉砕!

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「強力なファッティとはいえエルドラージは無色でどのデッキでも使えちゃうから折角の5色デッキの良さを活かしきれない」と思った方は根本原理サイクルなんていかがでしょうか。単純に点数で見たマナ・コストは7マナと標準的なフィニッシャーと同程度か少し重いくらいですが、色の縛りがガッチガチなので早々使えません。しかもそれが5種類。なんだかロマンを感じませんか?まあ「朗々たる根本原理」は統率者戦ではルール上ほぼ使えないカードですが……。

スカラベの神

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何しろハイランダー構築なので、折角の強力なクリーチャーも1体しか使えません。でも「スカラベの神」なら大丈夫!自分のクリーチャーを1回までなら蘇生できますし、ついでに相手のクリーチャーをパクったりライフを削ったりできます。スタン落ちで最盛期よりも大分安くなったのもポイント。

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「ブライトハースの指輪」でスカラベの蘇生能力を増やしたり、蘇生したクリーチャーの着地時の誘発型能力を「ストリオン共鳴体」や「パンハモニコン」で増やしたりするのも面白いかも?

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蘇生能力繋がりで「不浄なる者、ミケウス」を採用すれば、更に「トリスケリオン」も投入してワンショットキルだってできちゃいます。トリスケリオンの切腹に2発、残りをプレイヤーへのバーンに充てれば、弾を使い切ったトリスケリオンが不死によって蘇生し、再びバーンすることができるのです。

原初の災厄、ザカマ

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でっかいマナでウェイウェイしたい方はこちらのザカマがオススメ。重いため、出せるようになるまでが長くなりますが、自身の能力でマナ・コストを実質タダにできちゃうので隙が少ないのが強みです。除去性能も半端じゃない。切腹やバウンスから更に出し直すというコンボで無限マナも出せちゃうかも?

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マナ加速方面のカードはガンガン入れたいところ。特に土地から出るマナにボーナスを付けるタイプのカードとは相性抜群。そもそものボーナスカードの重さは他の軽量マナ加速でカバーしましょう。あとは先程挙げたストリオン共鳴体やパンハモニコンでザカマの誘発型能力を増やすのもいいかもしれませんね。

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統率者が折角の恐竜さんだし他にももっと恐竜さんを採用するドン!特にエターリは多人数戦だから最大で4枚踏み倒せて楽しそうザウルス!

パルン、ニヴ=ミゼット

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最新弾「ラヴニカのギルド」からはなんか悪用したくなるカードが多いイゼット団の創始者ミゼット様がエントリー。デッキのエンジンにもフィニッシャーにもなる超便利なスペックです。アホみたいにドローできちゃうのでドロージャンキーにもオススメ。

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「ミゼット様と言えばコレ!」というくらい有名なのがこの「好奇心」を使った無限バーン&無限ドローのコンボ。好奇心を付けたミゼット様がダメージを与えると好奇心によって1ドローでき、そのドローによってミゼット様がバーンダメージを与え……といった感じ。コンボに対応するミゼット様はパルンの他に火想者もあるので、両方採用しちゃうのもアリかも?ライブラリーアウト(デッキ切れ)には要注意!

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ちょっとした軽量ドローに+1ドローとバーンが付いたり、大量ドローに大量バーンが付いたりととにかくドローがそのまま勝利に繋がるので、どんどんドローできるカードを採用しましょう。特に「核の占い師、ジン=ギタクシアス」とセットで並べれば毎ターン7点飛ばす死の砲台を作ることができます。繰り返しになりますが、物凄い勢いでドローしまくるデッキになるので、ライブラリーアウトで自爆なんて恥ずかしい負け方だけはしないようにデッキ修復手段も用意しておきましょう。

 

最後に

統率者戦用のストラクもあるので、そちらから始めてみるのもお手軽でいいかもしれません。実戦級のパワーのカードも何枚か収録されているので、折角買ったのに最終的にデッキから全部抜けるなんてことはありません。流石に買い足しは必須ですが。それに自力で100枚デッキを組むなんて正直面倒ですしね。

また、そんな面倒臭がり屋さんには、ネット上のレシピを参考にするという手もオススメです。ただし、その場合はデッキレシピの更新日をチェックしておきましょう。数年前に作られたまま放置されているレシピがゴロゴロしているので、禁止カードが入ったままになっていたり、現在のプールなら必須級のカードが入ってなかったりします。

統率者戦はデッキ枚数が結構多いのと場所を取るのが大変ではありますが、その分ダイナミックな動きが期待できます。多人数戦ならではの駆け引きも面白く、自分のちょっとした行動が思いもしない対戦相手に大きな影響を及ぼすかもしれません。

スタン落ちでカード資産が実質パーになってしまった人も、コレを機に家中のカードをかき集めて統率者戦デビューをしてみてはいかがでしょうか。「興味はあるけどまず試してみないことには……」なんて人にはデッキを貸し出すこともできるので、是非一度対戦して雰囲気を掴みましょう!

 

ここまで読んでいただきありがとうございました。次の記事はそろそろ遊戯王ポケカにしようと思っており、現在鋭意執筆中です。ご期待ください。

 

誰か記事のアイディアくれ

*1:マナの色を指定するためのアイコン。

*2:感染などの特別な能力によってプレイヤーに蓄積していくカウンター。10個溜まると即敗北。

*3:デッキの上から1枚確認し、それをデッキの一番上か一番下に戻すこと。

*4:ただし、全6種類ある伝説のエルドラージの内、「引き裂かれし永劫、エムラクール」(通称「旧エムラクール」)は統率者戦禁止カード。