日本大学法学部TCG研究会

日本大学法学部TCG研究会の日常

【青単クロックパーミッション】転生作戦!

「死んだんじゃないの〜?」と思ってた【青単クロックパーミッション】(【青単テンポ】【青単アグロ】)が基本セット2020によって若干息を吹き返して(新弾だけに)たまげたので記事にしようと思ってたのに、就活が忙しくてそれどころではなくそのままズルズルと3ヶ月ほど下書きを放置していたカエルです。

 

今回は当ブログでも何回か紹介しているお気に入りデッキ【青単クロパ】を新フォーマットであるイオニアで復活させる記事です。スタン落ちでアーキタイプその物が崩壊した【青単クロパ】は新天地でどう戦っていくのか!?(ホントは基本セット2020期スタンダードバージョンの紹介をしたかったのに……)

【青単クロパ】おさらい

例によって詳しいお話は過去の記事(その1その2)に投げるとして、ここでは【青単クロパ】のざっくりとした概要を説明していきます。

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【青単クロパ】は「幽体の船乗り」のような軽く攻撃を通しやすいクリーチャーに「執着的探訪」を付けてダメージを与えつつ継続的にドローし、

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それによって引き込んだ「潜水」や「呪文貫き」のようなカードでアタッカーを守りつつ相手を妨害し、

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最後は大きく育った「大嵐のジン」で残りのライフを一気に削り取る、いわゆるクロックパーミッション的な動きをするデッキです。

「実質2ターンキル」と呼ばれたこともあるほど上振れ時の制圧力が高い一方で、カード1枚1枚のスペックがそこまで高くないため、劣勢からの1発逆転は難しいデッキとなっています。自分のやりたいことをどう通すか、相手のやりたいことを効果的に邪魔するためにはどこを妨害するかの判断が大きくゲームを左右するので、カードゲームらしいシビアなアドバンテージのやり取りを楽しめます。

 

イオニアって何ぞ

さてさて前項は今までの振り返りなのでぶっちゃけあんまり重要ではありません。本題はコチラです。

先日衝撃的なアナウンスがありました。新フォーマット(構築ルール)イオニアの制定です。

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イオニアは、2012年10/5発売の「ラヴニカへの回帰」以後のほとんどのカードを使える(ただし、「モダンホライゾン」のような特殊セットはNG)フォーマットで、現状スタンダードの約3~4倍のカードプールで遊ぶことができます。また、大きな特徴として、スタンダードのような使用可能カードのローテーション(スタン落ち)がないため、一度手に入れたカードは禁止されるまで使い続けることができます。そう、もう「執着的探訪が使えなくなったからデッキが紙束になった〜!」なんて嘆かなくても良いのです。

今まではそういったプレイヤーの受け皿としてモダンやレガシー、統率者戦といったフォーマットが存在していましたが、そのどれもが15年分以上というあまりにも広大なカードプールでの戦いであり、スタンダードの次のステップとして適しているとは言えない状況でした。それを解決することを目的に今回新しくこのフォーマットが制定されたのです。(一応フロンティアというカードプールが5年分の非公式フォーマットがありますがなにせ非公式なので……)

あ、イオニアは制定直後のバランス調整措置として、しばらくの間毎週月曜日(アメリカ時間。日本時間だと火曜)に禁止改定が行われる点にはご注意ください。その結果、最初から禁止カードに指定されている「溢れかえる岸辺」「汚染された三角州」「血染めのぬかるみ」「樹木茂る山麓」「吹きさらしの荒野」の5枚の所謂フェッチランドに加え、11/12(火)現在、「守護フェリダー」「ニッサの誓い」「豊穣の力線」「夏の帳」が禁止に指定されています。

まあ【青単クロパ】は極端なパワカが入ってないんでほとんど気にしなくていいとは思いますが。(青緑化プランのサイド要員だった夏の帳は死んだけど……)

 

イオニアでの新しい仲間

イオニア参入によるカードプール拡大の恩恵は様々なデッキが影響を受けます。もちろん【青単クロパ】も例外ではありません。

では【青単クロパ】にはどんな新しい仲間が加わるのか?【青単クロパ】が主に活躍した時期である「イクサラン」〜「基本セット2020」期にはなかった物から個人的に注目しているカードをいくつかご紹介したいと思います。

「エルドレインの王権」から

かましい借り手

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まずは最新エキスパンション「エルドレインの王権」の最新ギミックを搭載した便利なクリーチャーから。

かましい借り手のような当事者カードは、クリーチャーとしてもカード左下に書いてある出来事としても使える1粒で2度美味しい特性を持っています。厚かましい借り手なら、そのままアタッカーとして場に出すのはもちろん、「些細な盗み」として除去に使うこともできてしまうのです。しかも、出来事を使った場合は、その後好きなタイミングでクリーチャーとしてもう1回使うことができます。2度美味しいどころか3度美味しいな?

臨機応変に使い分けられる点も単純に強いのですが、【青単クロパ】は「執着的探訪を付けるクリーチャーは欲しいけどあんまりクリーチャーを入れすぎると防御カードが足りなくなる」というジレンマに常に悩まされているデッキなので、当事者カードのような両方の性質を持つカードは特に嬉しいです。

フェアリーの荒らし屋

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コチラも同じくエルドレイン。

フェアリーの荒らし屋は各ターン2枚目のドロー(自分のターンなら通常のドローに加えてもう1枚ドロー)をするだけでサイズが永続的に1回り大きくなる能力を持ちます。攻撃を通すと1ドローできる執着的探訪とのシナジーは抜群!ダイレクトアタックが成立する度にドローとパンプアップができる胡散臭いクリーチャーの誕生です。

クリーチャーなどの本来相手ターンに使えないカードを使えるようにする瞬速も隙を最低限に減らせるのでバッチグー。相手エンドに不意に出してそのまま自分のターンでの探訪アタックに繋げましょう。

「イクサラン」より前から

至高の意志

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「破滅の刻」からは打ち消しによる無効化と後続探しの好きなモードを選べる至高の意志です。

打ち消しモードは確実に打ち消すタイプではなく、追加マナを要求するタイプなので頼りなく見えますが、パイオニアはスタンダードと比較してゲームスピードが速く、その分土地の総数が少なくなる(追加でマナを払いづらくなる)ことが予想されるため、コレでも十分にカウンターとしての役割を果たしてくれると思います。

そして、もしもゲームが長引いて相手の土地が多くなってきたときなどは後続探しモードの出番です。手札の総数こそ増えませんが、デッキの上から4枚も見られる上に何でも好きな物を非公開で手札に加えられるので、そのときの状況に応じ、情報アドを与えないまま土地でもクリーチャーでも防御カードでも執着的探訪でも何でも持ってこられます。無駄がない!

検閲

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「アモンケット」の検閲は至高の意志と同様に打ち消しと後続確保の2つの効果が選べますが、2マナと軽い分使い所が難しいいぶし銀の上手ぶりカードです。

打ち消しモードは至高の意志の3マナ要求から更に減って1マナ要求と相手がマナを使い切ったときにしか機能しません。そのため、いくらパイオニアと言えど最序盤にしか使えないでしょう。それでも、たった2マナで相手のカードを何でも無効にしうるというのは可能性を感じさせます。特にマナカーブ通りにテンポ良くカードを使っていくタイプのデッキにはイメージ以上に効くでしょう。

中盤以降は2つ目の能力であるサイクリングが輝きます。なんとこのカードはマナ・コストが青マナ1つだけの1ドローカードとしても使えるのです。この特性により、検閲は打ち消しもできるドローカードとも言えるので、2種類目の「選択」として、あるいは選択の枠に入れ替えで採用、といった構築も考えられます。ドローなので至高の意志と違ってフェアリーの荒らし屋ともシナジーがあるのもグッド。

タッサの拒絶

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「神々の軍勢」のタッサの拒絶はクロパ戦略と相性の良い打ち消しです。

信心とは、自分の場のカード右上に印刷された各色のマナ・シンボルそれぞれの合計のことです。タッサの拒絶は青への信心を参照しますから、青のマナ・シンボルであるしずくマークを数えます。そして、その合計分だけ、相手に対しマナの追加支払いを要求するのです。

【青単クロパ】の場合は青のクリーチャー+執着的探訪が基本の盤面になるので、最低2マナ要求となり、以降は盤面が充実すればするほど要求数が増えてきます。また、一番守りたいクリーチャーである大嵐のジンは単体で信心を3つも稼ぐので、特に相性が良いのもポイントです。

 

【青単クロパ】サンプルレシピ

ガチャログ.com | 青単クロパ
【青単クロパ】
枚数
商品名
60枚
青単クロパ
4枚
セイレーンの嵐鎮め
4枚
幽体の船乗り
4枚
執着的探訪
4枚
選択
2枚
呪文貫き
2枚
潜水
4枚
フェアリーの荒らし屋
4枚
塩水生まれの殺し屋
2枚
本質の把捉
2枚
大嵐のジン
2枚
厚かましい借り手 / 些細な盗み
4枚
見張りによる消散
2枚
悪意ある妨害
20枚
0枚
サイドボード

このリストはガチャログ.comによって作られました。
このリスト登録番号「94806562」をガチャログで編集できます。

結局さっき紹介したカード半分以上入ってねーじゃねーか!

今回入れなかっただけで普通に候補には入ると思うから許して……。

(あ、そうそう。フェアリーの荒らし屋は上振れが強いけど割とそれだけなのでやっぱ「マーフォークのペテン師」の方がいいかも)(何なら大嵐のジンも全部厚かましい借り手でいい気が)(青単にする意味ががが……)

さて、サイドボードですが、コチラはまあ毎度のことながらよくわからない(何ならメインデッキもよくわからない)ので、とりあえずスタンダード時代を参考にしつつ、環境に合わせて「墓掘りの檻」のような踏み倒しメタや「沈黙の墓石」のような墓地メタを追加していけばいいんじゃないでしょうか?

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あとは打ち消されない呪文の数も増えてくるので、「即時却下」や「非実体化」などでの対策もしておきましょう。これらのカードは「打ち消し」とは書いていないものの、対象の呪文が解決される前にどこか別の領域に動かしてしまうので、耐性を貫通しつつ打ち消しと同じように使えるのです。

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ぶっちゃけ青単にする必要なくね?

ここまで紹介しておいてアレですが、青単にするメリットは費用の相対的安さと大嵐のジンの爆発力くらいしかないので、それらを評価しないなら2色デッキにするのも全然アリです。

青系の2色の組み合わせと言うと白青、青黒、青赤、青緑の4種類ですが、防御的な動きと呪文の軽さを両立するなら白青と青緑の2つが特に良いんじゃないかと思います。

白青ならコレが入る

白も入れて白青のデッキにするとこれらのカードを採用できます。

呪文捕らえ

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「異界月」からは使われると超鬱陶しい妨害カード兼アタッカーの呪文捕らえをご紹介。

瞬速によっていつでも出せるクリーチャーというだけでもそれなりですが、1番の目玉は名前の通り相手の呪文を「捕らえる」能力です。呪文捕らえは着地誘発型能力で自分が戦場を離れるまでの間相手が使った呪文を捕まえてくれるのです。一度呪文を捕らえたあとは他の妨害カードを駆使して呪文捕らえを守り相手を憤死させてしまいましょう。かなり強力なので、逆にコイツを採用するために白を増やしてもいいんじゃないかと思えるくらいです。

「ショック」の2点バーンで死なないタフネス3も地味に輝きそう。

時を解す者、テフェリー

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「灯争大戦」でデビューし、スタンダード環境に影響力を持ち続けている時を解す者、テフェリーはパイオニアでもバリバリ戦えます。

相手の行動タイミングを強力に拘束する常在型能力がまず強い!加えて、自身の能力で除去とドローもできるので、クロパ戦術とも非常に噛み合っています。

呪文捕らえとのシナジーも抜群。テフェリーの常在型能力により、呪文捕らえが戦場から離れたとしても、捕らえていた呪文を相手に唱えられることがなくなるのです。無法か?

ドビンの拒否権

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同じく「灯争大戦」からはより確実性の上がった「否認」であるドビンの拒否権もオススメです。

コントロールデッキの使う除去などにほぼ100%対処できるので、安心感がダンチです。他のカードにも言えますが、多色カードなので、色事故だけは回避したいですね。

神々の思し召し

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「基本セット2020」の神々の思し召しは攻めにも守りにも使える万能カードです。

プロテクションはザックリ言えば指定した特性の物に対象に取られず、ブロックされず、ダメージを与えられない能力なので、除去カードから身を守ったり、確実に攻撃を通す助けになったり、無敵のブロッカーとして肉壁にすることもできてしまうと至れり尽くせり。特にブロック貫通は潜水には絶対にできない芸当な上に執着的探訪と相性が良いので有効活用したいところ。

ただし、執着的探訪とアンチシナジーな部分もあります。プロテクションの効果は敵味方を区別しないので、青を宣言した場合は青いオーラである執着的探訪も外れてしまいます。それと、白を指定した場合に2枚目の思し召しの効果を適用できなくなるのも注意です。

青緑ならコレが入る

緑を入れた場合も同様にご紹介。

僻境生まれの保護者

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「エルドレインの王権」の僻境生まれの保護者は隙も無駄も少ない優秀なクリーチャーです。

2マナでパワー/タフネスが共に2という標準的なラインをクリアしている点もさることながら、非人間クリーチャーが出る度にマナを払えばその分サイズアップする能力は中盤以降余りがちなマナを綺麗に使えるので魅力的です。【青単クロパ】は採用クリーチャーが全て非人間なので、能力誘発タイミングには事欠きません。

顕在的防御

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「カラデシュ」の顕在的防御も攻めにも守りにも使える万能カードです。

潜水と同様に自分のクリーチャーを対象を取る呪文や能力から守ることができる上に潜水と違ってパワーが2上がるので、戦闘やライフレースをより有利にすることができます。「たった2点〜?」と思う方もいるかもしれませんが、その2点でキルターンが1ターン短くなるなら儲けものです。【青単クロパ】は一度盤面を崩されると残り数点のライフすら削られずに負けることがありうるデッキですからね。

以上のように攻撃面が優秀になった代わりに上昇するタフネスが3から2に減ってはいますが、まあそのくらいなら誤差の範疇でしょう。(さっきと言ってること違うじゃねーか!)

英雄的介入

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「霊気紛争」の英雄的介入は思し召しや顕在的防御と比較して更に広い範囲を守れます。

文字通り破壊されなくなる破壊不能によって全体破壊のもたらす破局から身を守れるのは先に紹介した2枚にはできない芸当です。【青単クロパ】は執着的探訪を直接狙われると弱いので、それを守れるのもポイント。

 

最後に

イオニア版【青単クロパ】は厚かましい借り手が高いためスタンダード時代のようなお手頃なデッキとは言えなくなってしまいましたが、それでも他のパーツは格段に安く集めることができます。

正直なところフォーマット自体が黎明期のためどこまでやれるのか未知数ですが、スタンダードでの実績もある以上、極端に弱いデッキではないハズです。(弱かったらゴメンネ)

今回の【青単】のように、過去のスタンダード環境デッキの延長線上にあるものがパイオニアの主流になると思うので、この機会に皆さんもストレージに埋まっているかつての相棒を掘り起こしてみるのはどうでしょうか?

あ、最後の最後にもう一言。

スタンダードとパイオニアに「秘密を掘り下げる者」「マナ漏出」「差し戻し」をくれ!!!!!

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