懲りずに紙を触りまくってるカエルです。
今日は2019年1/25(金)発売のMTGの最新弾「ラヴニカの献身」と2018年10/5(金)発売の準新弾「ラヴニカのギルド」に収録されたカードを使ったスタンダード*1のデッキの紹介をしていきます。
往年のぶっ壊れメカニズム「ストーム」の再来である「千年嵐」を使い、「ショック」や「稲妻の一撃」といったバーンカードを10倍にしてワンショットキルするコンボが勝ち筋です。
嵐/Stormの脅威
本題の前にちょっと小話。
冒頭で触れましたが、今回紹介するデッキは疑似的なストームである千年嵐を軸にしたデッキです。その特徴から【青赤ストーム】や【イゼットストーム】と呼ばれることもあります。そこで、そもそもストームとは何なのかについて軽く説明していきたいと思います。
ストームとは、そのターン中に自身より前に唱えられた呪文の数だけ自身のコピーを生成する能力のことです。簡単に言えば、2番目に唱えたら2倍、3番目に唱えたら3倍、というように、n番目に唱えた場合にn倍の効果をもたらします。
加えて、厄介な点が1つあります。それは、ストームは効果を単純に2倍3倍と増やすワケではないということです。単純にn倍する能力ならたった1枚の打ち消し(カウンター)で完全に対処できますが、ストームは呪文のコピーを生成する、つまりその分呪文が増える能力なので、1枚の打ち消しでは効果を1回分弱めることしかできません。ストームを完全に無効化するには、コピーを1つずつ地道に打ち消していくか、複数のコピー全てに対して同時に対応できる特別な打ち消しを使うしかないのです。
これらの特徴から、カードプールの広いモダン*2やレガシー*3、ヴィンテージ*4の環境において、ストームでワンショットキルを狙うデッキが時折顔を見せることがあります。
さて、話を千年嵐に戻しましょう。
このカードはそんなインチキ効果のストームを自分のインスタントやソーサリー*5に付与するエンチャント*6です。ですが、本家と違い、カウントの対象は自分の使ったインスタントかソーサリーのみな点やソリティア完走まで場に維持しなければならない点、6マナと重い点など欠点も多く、かなり弱体化しています。更に、スタンダードには使いやすい軽量呪文が少なくカウントを稼ぎにくいことも追い打ちをかけてきます。
でもそんなの関係ねえ!
通りさえすればほぼ勝ちのコンボ!このロマンを実現できなきゃ男が廃る!
嵐は雷鳴と共に
とは言ったものの、千年嵐が収録されているラヴニカのギルドが発売した頃はロマンを差し引いてもかなりつらいデッキでした。コンボ始動前に死んだり、置いても対処されたり、そもそも類似効果を持つ上に千年嵐よりも軽い「ミラーリ予想」(参考→出し入れしつついっぱい出す【青赤ミラーリ】 - 日本大学法学部TCG研究会)の方がお手軽だったり……。
しかしラヴニカの献身以後は違います!ニューカマーの「雷電支配」が千年嵐の弱点の1つである隙の大きさを減らしてくれたのです!
雷電支配は赤マナ2つに加えて好きなだけマナを払い、追加支払い分に等しいバーンと踏み倒しをしてくれます。コイツを使えば、多少重くなってしまう代わりにボードアドバンテージを稼ぎつつ千年嵐を着地させることができます。ですが、それだけではありません。こういった踏み倒しカードはクリーチャーやソーサリー、エンチャントなどの使用条件である「自分のターンのメイン・フェイズ時」を無視できます。そして、雷電支配自体は相手ターンでも使えるインスタント。つまり、雷電支配を経由すれば、相手ターンの終了時にドドンと千年嵐を着地させ、そのままスムーズに自分のターンでのソリティア始動に移れるのです!
更に、千年嵐の着地だけでなく、千年嵐によるストーム付与とも相性がいい無駄のなさ!千年嵐が存在するときに雷電支配を唱えたなら、雷電支配によってストームカウントが1つ増え、その上で踏み倒した呪文によってもう1つストームカウントが増えるのです!コレを応用すると、例えば追加2マナで雷電支配を4回目に唱えた場合、2点のバーンと2マナ以下の踏み倒しが全部で4回行えることになり、その踏み倒しの権利を3点バーンの稲妻の一撃に使うと、なんと5回目の呪文として扱われ、2×4+3×5の合計23点バーンが実現!仮に雷電支配を撃った段階で手札に勝負を決められるバーンカードがなかったとしても、ドローカードさえあれば、踏み倒しの権利をギリギリまで使ってどうにか引き込むことができるでしょう。ドローカードもストームによってパワーアップしますからね。
更に更に、雷電支配は「ゴブリンの電術師」のサポートを受けられるというメリットもあります!
千年嵐自体のコスト軽減はできませんが、千年嵐を踏み倒す為の雷電支配のコストを軽減することで、より早く、より安全にコンボの準備を行うことができます。それどころか、電術師が2体いれば元のコストである6マナで千年嵐に6点バーンのオマケを付けられますし、3体以上いればむしろ元より軽くなってしまうのです!
(「それ全部ミラーリ予想で同じことできるじゃねーか」と言ってはいけない。)
デッキ大回転
さて、コンボの核の解説のあとはコンボの補助をするデッキを回転させるためのパーツについてです。
確かに千年嵐の爆発力は驚異的ですが、そもそも引けなきゃどうしようもありませんし、仮に引けたとしても、普通に使うだけではストームカウントは精々2か3止まり。10倍界王拳なんて夢のまた夢です。そこで、ここで紹介する軽量ドローカードなどを利用することで、コンボの始動を早めつつ、ストームカウントを稼ぎやすくします。
「選択」はこの手のコンボデッキによく採用される軽量ドローの鉄板中の鉄板です。占術1によってデッキトップを操作した上でドローできるので、デッキを最大2枚掘ることが可能です。選択と違い2マナと重いため考えなしに4枚採用することはできませんが、「急進思想」も役に立ちます。再活によってもう1回使うことができるので、「ドローカードが足りなくなってコンボが完走できない!」なんて事態を避けられます。
「可能性の揺らぎ」や「予期」もいい仕事をします。欲しいカードを的確にピックアップしつつ、いらないカードをデッキの下に送れるので、デッキの純度を上げていくことができます。同じ2マナのため、急進思想と枠の取り合いになってしまいますが、再利用を考慮しない場合はこちらの方が強力です。
最後に紹介する「海賊の獲物」と「海賊の略奪」はこのデッキのもう1つの核と言える程の超重要カードです。どちらも4マナと軽量と呼ぶには重めのコストをしていますが、重要なのは使い捨てのマナ源である「宝物」を生成できる点です。この宝物の役割は2つあります。
1つ目はマナを増やし千年嵐の着地ターンを早める役割です。通常のマナ源である土地は1ターンに1枚しか場に出せないため、千年嵐のための6マナを揃えるのには6ターンかかってしまいます。しかし、4ターン目までに宝物を生成できれば、5ターン目には6マナが揃うのです。その上、電術師と海賊の略奪があれば、2ターン目に電術師、3ターン目に海賊の略奪とプレイしていくことで、なんと通常より2ターンも早い4ターン目に千年嵐を出せてしまうのです。
2つ目は呪文コストを相殺する役割です。千年嵐を設置したあとは当然海賊の獲物や海賊の略奪にもストームもどきが付きます。するとどうなるか。ドローの枚数が4枚6枚と跳ね上がるのはもちろん、生成される宝物の数も増えていきます。そして、海賊の獲物なら4回目、海賊の略奪なら2回目に自身のコストと生成される宝物の数が同数になり、それ以降は使えば使うほどマナが増えるステキ性能に変化するのです。コレによって、上手く回り始めさえすれば、デッキが尽きるまで延々とマナを伸ばし、ドローを続けることができます。この特徴を活かせるよう、千年嵐を出す前に使い切らないようにしましょう。
サンプルレシピ
恒例のデッキレシピ公開。私が普段使っているものと大体同じです。
【青赤千年嵐】 | |||
商品名 | |||
青赤千年嵐 | |||
選択 | |||
ショック | |||
ゴブリンの電術師 | |||
可能性の揺らぎ | |||
急進思想 | |||
発展 / 発破 | |||
稲妻の一撃 | |||
雷電支配 | |||
標の稲妻 | |||
海賊の獲物 | |||
海賊の略奪 | |||
千年嵐 | |||
蒸気孔 | |||
硫黄の滝 | |||
島 | |||
山 | |||
サイドボード |
このリストはガチャログ.comによって作られました。
このリスト登録番号「44342525」をガチャログで編集できます。
ショックは使いやすい軽量火力呪文ですが、2点じゃ倒せないクリーチャーも多いので枚数を減らしました。急進思想もコストの割にデッキを掘れないので2枚止まりです。まあこちらは再活のお陰で実質4枚ですし。そして、その分の枠を中盤以降なら4点以上出せて再活付きの「標の稲妻」と無駄に溜まったマナをドローに変換できる「発展/発破」の2枚に割きました。ただ、コンボに特化するなら稲妻の一撃ではなくショックで事足りますし、今回採用を見送った予期も性能自体は十分高いので、まだまだ調整の余地がありそうです。
他の採用候補としては、例えば千年嵐を早期にキャッチできる「アズカンタの探索」や「宝物の地図」も良いかもしれません。
どちらもデッキを効率的に掘り進め、事故を避けつつ千年嵐を探すことができます。しかも、この2枚のカードは条件を達成するとどちらも土地に変身し、マナ源としての仕事もしてくれるため、千年嵐を見つけたあとも腐らないという無駄のなさ!インスタントでもソーサリーでもないのでストームカウントは稼げず、また、値段もそこそこするのでデメリットもありますが、選択肢としてはアリだと思います。実際私が店舗大会で3連勝したときは急進思想の代わりにアズカンタ入れてましたし。
あとは「任務説明」も面白そうです。
デッキトップを操作しつつ、墓地のインスタントやソーサリーを再利用できるので、勢い余って海賊の獲物や海賊の略奪を使い切ってしまっても安心です。
タネが割れたらドレイクにチェンジ
続いてサイドボードに関して。
このデッキは千年嵐への依存度が非常に高いデッキです。1戦目のあとのサイドチェンジで、恐らく相手は打ち消しやエンチャント対策などを増量してコンボを止めにかかるでしょう。こちらもそれに対応し、対策の対策をすることもできますが、それでも2戦目以降のコンボ成功率はかなり低くなってしまいます。
ここで発想を転換しましょう。千年嵐を対策されてしまうなら、千年嵐をデッキから抜いて別の勝ち筋を採用すれば良いのです。コンボ成立に特化しているためにそういった方針転換が苦手なデッキも少なくありませんが、幸いなことに【青赤千年嵐】にはちょうどいい相棒がいます。
「奇怪なドレイク」と「弾けるドレイク」のWドレイクは自分が使ったインスタントとソーサリーの数だけパワーが増すクリーチャーです。コレを千年嵐や海賊の略奪、急進思想などと入れ替えれば、立派なドレイクデッキに早変わり!加えて、軽量ドローはドレイクを探しつつそのパワーを上げるカードに、バーンカードは最後のダメ押しをするカードに無理なく役割変更できます。
「パルン、ニヴ=ミゼット」もフィニッシャーとして超優秀です。確実に着地を通せる打ち消し耐性に4回殴れば人が死ぬパワー、そしてドローに1点バーンが付いてくる上に自身がドロー能力持ちと1ターン維持できればほぼ勝負が決まると言っていい性能です。
クリーチャーを守る「潜水」や「イオン化」も採用したいところ。ただし、クリーチャー以外の枠は墓地対策やウィニー対策にも割きたいので、枚数はよく考えましょう。
(正直最初からドレイク軸で戦った方が安定する。)
メインデッキからサイドボードまで一通りお話したので、今回はこの辺でお別れです。
皆さんもイゼットの技術を借りて自分だけのオリジナルコンボデッキを発明してください!
それではオタッシャデー!