日本大学法学部TCG研究会

日本大学法学部TCG研究会の日常

秋を見据えて2-新天地-【黒緑鱗蛇】

チャッス、広報のカエルです。

 

本題の前に告知!

4/4(水)10時~17時は新入生勧誘会です!

日本大学法学部TCG研究会のブースは本館3階の133講堂にあります!!

当日は会員とフリー対戦ができるので、ぜひデッキを持って遊びに来てください!!!

 

みなさんは先日公開した記事、「チャレンジャーデッキを買え!」と「秋を見据えて」を読んでくれましたか?

nucltcg.hatenablog.com

nucltcg.hatenablog.com

今回はチャレンジャーデッキの応用と今年の秋(10月ごろ)に予定されている「カラデシュ」「霊気紛争」「アモンケット」「破滅の刻」のスタン落ちに関する内容です。単体でも問題ない記事にしたつもりですが、以前の記事を読んでいれば、より楽しめるかと思います。 

モダン化という選択肢

 

冒頭で挙げた4エキスパンションは、CORE2019の次のエキスパンション(名称・発売日不明)の発売と入れ替わりでスタンダードでの使用ができなくなります。以前紹介したチャレンジャーデッキをはじめ、この4エキスパンションのカードを中心としたデッキも当然使用不可です。「秋を見据えて」では、これに対する回答として、今年の秋にスタン落ちしないエキスパンションを中心にデッキを組むという方法を挙げました。しかし、これでは折角組んだデッキが使えなくなってしまうことへの根本解決にはなっていません。そこで提案するのが、モダン化です。

MTGはスタンダードだけのゲームではありません。スタンダードより多くのカードを使え、かつ、カードが使えなくなってしまうローテーション制度がないフォーマットとしてモダンが存在します。このモダンという新たな戦場でなら、スタン落ちを迎えたカードを引き続き使うことができる上に、そういったカードをこの先永久に使い続けることができるのです。

 

モダンってどんなもん

モダンとは、先程触れたように一定期間ごとにエキスパンション単位で使用不能になるいわゆるスタン落ちが存在せず、また、2003年7/28以降に発売したほとんどのカードが使えるフォーマットです。具体的には、基本セットは第8版以降、エキスパンションはミラディン以降のものを使用することができます。

モダンにはスタンダードとは比べ物にならないほどの様々なカードが存在するので、デッキ紹介だけでとてつもない文量が必要になってしまいます。そこで、今回はチャレンジャーデッキの中から怒涛カウンターをピックアップし、それのモダン化に絞って話を進めていきます。

 

蛇には鱗がある

黒緑巻きつき蛇、あるいは黒緑カウンターとも呼ばれる怒涛カウンターのキーカードは巻きつき蛇でしたが、モダン化によってさらにもう1枚キーカードが増えます。硬化した鱗です。

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鱗の方に書いてある「+1/+1カウンター」とは、それが乗っているクリーチャーのパワー(攻撃力)とタフネス(体力)を1つずつ上昇させるカウンターのことです。そして蛇と鱗はその能力により、+1/+1カウンターの数にボーナスを付けることができます。つまり、通常はたった1ずつしか上昇しないP/T(パワー/タフネス)を、鱗と蛇の数だけ上乗せすることができるのです。2つは基本として、場合によっては3つ、運が良ければ一度に5つ以上も乗せることができます。MTGの初期ライフが20なことを考えれば驚異的です。

怒涛カウンターモダン化改修型、名付けて「黒緑鱗巻きつき蛇」はこれら2種4枚ずつ合計8枚のカードをいかに早く場に出し、いかに長く維持するかにかかっています。

 

大解剖!黒緑鱗巻きつき蛇!!

メイン マナ 枚数
歩行バリスタ (X)(X) 4
シミックの信徒 (緑) 4
巻きつき蛇 (黒)(緑) 4
ピーマの改革派、リシュカー (2)(緑) 3
新緑の機械巨人 (3)(緑)(緑) 2
搭載歩行機械 (X)(X) 4
愚鈍な自動人形 (4) 2
闇の掌握 (黒)(黒) 2
致命的な一押し (黒) 3
硬化した鱗 (緑) 4
テゼレットの計略 (3)(青/Φ) 4
ナイレアの弓 (1)(緑)(緑) 2
  2
  2
進化する未開地   2
ラノワールの荒原   4
ラノワールの再生地   2
黄昏のぬかるみ   2
花盛りの湿地   4
霊気拠点   4
サイド マナ 枚数
漁る軟泥 (1)(緑) 2
打ち壊すブロントドン (1)(緑)(緑) 2
顕在的防御 (緑) 3
強迫 (黒) 4
失われた遺産 (1)(黒)(黒) 2
ヤヘンニの巧技 (2)(黒)(黒) 2
合計(メイン)   60
合計(サイド)   15

上記のデッキリストは黒緑鱗巻きつき蛇の一例です。構築難易度に配慮し、比較的安価なカードや探しやすい最近のカードを選んでいます。クリーチャーに関してはほぼベストと考えていますが、除去や土地はかなり妥協しているので、余裕のある方はあとで紹介するカードに差し替え、より完成度を上げましょう。

デッキの原型は4つのチャレンジャーデッキの内の1つである怒涛カウンターですが、硬化した鱗を効果的に使う(激ウマギャグ)ため、元々存在していたエネルギーカウンターギミックをほとんど排除し、+1/+1カウンターに特化させています。

基本的な動きは、デッキに眠る計8枚の鱗と蛇を最速で場に出した上で維持し、+1/+1カウンターを乗せるカードでクリーチャーを高速で育て、

圧倒的なパワーとタフネスで相手を粉砕する

というものです。次の章では、もう少し詳しくこのデッキの戦い方について解説します。

この動きを目指せ!

①硬化した鱗&+1/+1カウンタークリーチャースタート

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一番オーソドックスな動きです。1ターン目に鱗を設置して準備を整え、2ターン目以降は+1/+1カウンターを乗せられるクリーチャーを使い、筋肉モリモリマッチョマンで盤面を固めます。2ターン目に出せて+1/+1カウンターが乗せられるクリーチャーは上にあるシミックの信徒、歩行バリスタ、搭載歩行機械の3体ですが、それぞれに強みがあるため、どれをキープしても大丈夫です。

信徒は、基本のP/Tが0/0ですが、+1/+1カウンターが1つ乗った状態で戦場に出ます。そして、当然そこに鱗のボーナスが付いて+1/+1カウンターの数が2つになるので、最終的なP/Tが2/2(「パワー2/タフネス2」ということ)になります。1マナで2/2はかなり強力です。しかし、真の強さはそこではなく+1/+1カウンターを「移植」する能力にあります。テキストには「+1/+1カウンターを1個、それの上に移動」とありますが、厳密には「移植カードから+1/+1カウンターを1つ取り除き、その後、クリーチャーに+1/+1カウンターを1つ乗せる」という操作が行われます。通常はこの点を意識しなくても特に問題はないのですが、鱗や蛇がいる場合は違います。なんと、取り除いた+1/+1カウンターは1つなのに乗せるカウンターは2つになるのです。これにより後続のクリーチャーを更に強化することができます。

バリスタと歩行機械はよく似たクリーチャーです。マナ・コストがXXで基本のP/Tが0/0、戦場に出た状態から自力で+1/+1カウンターを乗せる能力と共通点がたくさんあります。まずマナ・コストのXXについてですが、これは0以上の任意の偶数のマナ・コストで唱えられることを意味します。そして、払ったマナ・コストの半分の+1/+1カウンターを持って戦場に現れますが、当然これにもボーナスがかかります。例えば、2マナで唱えた場合、通常なら+1/+1カウンターが1つ、鱗が1枚あるなら2つ乗った状態で現れるのです。続いてバリスタと歩行機械の固有の能力に触れていきます。バリスタは乗せている+1/+1カウンターを射出する能力を持ちます。MTGにおいては、クリーチャー同士の戦闘は基本的に防御側がブロックした場合にしか成立しません。クリーチャーの攻撃によって相手のクリーチャーを能動的に破壊することは難しいのです。しかし、歩行バリスタならば、弾の許す限りクリーチャーを除去できますし、プレイヤーに直接ダメージを飛ばすこともできます。攻撃で相手のライフをある程度削ったあとにダメ押しのバーンで勝利することさえ可能です。搭載歩行機械は、戦場から墓地に送られてもトークンという形でリカバリできます。戦場に残るP/Tの総和は変動しませんし、それどころか頭数自体は増えるのでより厄介です。

②ラノワールの再生地&巻きつき蛇&ピーマの改革派、リシュカースタート

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こちらもかなり強力ですが、採用枚数的にパターン①ほど期待できません。スタンダードでも時折暴れる蛇&リシュカーの動きの強化版になります。

蛇は鱗より黒1マナ分だけ重い代わりにクリーチャーなため、戦闘に参加することができます。が、クリーチャーであることは破壊されやすくなるというデメリットをもたらします。そこをラノワールの再生地による移植である程度カバーするのです。そして、3ターン目まで生き残れたなら満を持してリシュカーの登場です。乗せられる+1/+1カウンターは蛇の能力により2つ×2体の計4つ。クリーチャーがもう1体増えたかのようなパンプアップ量となります。加えて、リシュカーの能力によって+1/+1カウンターの乗ったクリーチャーを土地のように扱えるため、4ターン目には最大6マナの使用が可能です。

まだまだいるぞ注目カード!

主要なカードは紹介しましたが、このデッキにはほかにも+1/+1カウンターに関わるカードがたくさんあります。その中から3枚をピックアップ!

愚鈍な自動人形

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このデッキでは比較的重い4マナの割に乗る+1/+1カウンターがたったの2つ、自己強化にはマナどころか手札も必要とあまり使い勝手のよくないカードですが、鱗や蛇がいるなら話は別です。戦場に出るときも、そして自己強化するときもすさまじい数の+1/+1カウンターが乗り、ちょっと愉快なイラストからは想像もつかない殺戮兵器に変貌します。更に、+1/+1カウンターをドローに変換する能力も持つため、中盤以降の息切れ防止にも役立ちます。

テゼレットの計略

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「黒緑デッキのカードのくせになんか青いぞ?」と思った方、その違和感は半分正解で半分間違いです。確かにこのカードを唱えるには通常青マナが必要ですが、Φ字のマナ(ファイレクシア・マナ)の特別ルールにより、青マナの代わりに2点のライフを支払ってもいいのです。よって、青マナの出せないこのデッキでは3マナとライフ2点をコストに唱えることになります。能力の前半はこのデッキでは貴重なドローです。これだけでもかなり助かるのですが、メインは後半の増殖です。増殖はその名の通り様々なカウンターを「増殖」させ、1つ増やせます。そして、この増殖にも当然鱗と蛇のボーナスがかかるのです。ドローもできる強化もできる。ビキビキビキニ1、2、3!

ナイレアの弓

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1つの常在型能力と4つの起動型能力を持つナイレアの弓はこのデッキの便利屋です。

まず常在型能力について説明すると、持っているとクリーチャーに戦闘や能力でダメージを与えた場合に必ずそれを破壊できる能力である「接死」を付与し、相手のブロックを躊躇させたり、ブロックした相手クリーチャーを確実に破壊したりできます。それだけでも強力ですが、この能力の真価はバリスタとのコンボにあります。攻撃宣言をして攻撃クリーチャーとなったバリスタが射出能力でクリーチャーにダメージを与えると、接死によってたった1発で除去できるのです。

続いて4つの起動型能力についてです。メインは言うまでもなく鱗や蛇に対してシナジーを形成する1番目の能力ですが、2番目と3番目も場合によってはかなり役立ちます。しかし、4番目の墓地回収能力は強力そうに見えてあまり使えません。このデッキにはサーチカードがなく、また、デッキをシャッフルする手段にも乏しいからです。

 

更なる選択肢

このデッキはチャレンジャーデッキをモダン用に改造したい初心者に向けて考えたものです。その為、そういった方が作りやすいように高額なパワーカードはあまり採用していません。また、モダンは15年もの歴史を持つため、採用を見送った+1/+1カウンター関連カードも少なくありません。

この章は「どうせ作るならガッチガチにしたい」という方や「別のカードを採用して自分好みにカスタムしたい」という方への提案の章となっています。

+1/+1カウンターの乗せ方を変えよう!

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+1/+1カウンターを乗せたり、その数にボーナスを付けたりする手段はたくさんあります。

巨森、オラン=リーフはターン中に出た緑のクリーチャー全てに+1/+1カウンターを乗せられます。1ターン中にたくさん展開すればするほど能力が強力になるのです。また、鱗や蛇はボーナスが1つだけでしたが、屍体屋の脅威はなんと2倍です。しかも、鱗や蛇のボーナスの計算を終えたあとにまとめて2倍にできるのです。例えば、鱗と屍体屋が1枚ずつ戦場にあるときに信徒(通常は+1/+1カウンターが1つ乗って戦場に出る)を出した場合、(1+1)×2の計算が行われ、最終的に4つの+1/+1カウンターが乗せられるのです。後出しで一気に+1/+1カウンターを乗せたいならゼンディカーの代弁者、ニッサがいいでしょう。巨森と違って1ターン中にまとめて展開する必要がありませんし、トークンの生成によって頭数を増やすこともできます。

+1/+1カウンターの活用法を変えよう!

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今回のデッキでは+1/+1カウンターを単純なパンプアップまたはバリスタの弾、歩行機械のトークンとして利用しました。一方で、MTGには+1/+1カウンターが乗っているクリーチャーにパンプアップとはまた違った恩恵を与えるカードも存在します。

マー=エクの夜刃と冠角獣は+1/+1カウンターが乗った自分クリーチャーにそれぞれ接死とトランプル(貫通ダメージ能力)を与えます。色を選ばなければ、白のアイノクの盟族、青の秘滝の軍師と、こういった形で+1/+1カウンターを活用するカードも少なくありません。自分好みのパワーアップのために色の組み合わせを変えてみたり色を増やしてみるのもオススメです。

強力な除去で脅威に対処しよう!

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致命的な一押しや闇の掌握も弱くはないのですが、クリーチャーの質が高いモダンでは少々不安が残ります。幸い黒は除去が得意な色なので、選択肢のなさに困ることはありません。

四肢切断は黒マナ2つと1マナの計3マナで-5/-5の修整と、掌握を一回り大きくしたかのようなカードですが、実は掌握以上に使い勝手が良いカードです。マナ・コストをよく見ると、テゼレットの計略のように黒いΦになっています。コレは計略の青いΦと同様に黒マナの代わりに2点のライフをコストに充てられることを示すものです。そして、それが2つあります。つまり、四肢切断は通常の3マナ以外に、2マナと2ライフ、1マナと4ライフと合計3種類のコストの払い方ができるのです。突然の衰微と大渦の脈動は対応範囲がかなり広い除去カードです。パーマネントとは、戦場に残るカードのことを指し、具体的には、クリーチャー、アーティファクト、エンチャント、プレインズウォーカー、土地を指します。その5種の中から土地以外の4種を除去できるとなれば、あらゆるデッキに対応できると言っても過言ではないでしょう。

土地を安定させよう!

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MTGの基本かつ特徴と言えば土地とマナのシステムです。ほとんどのカードは土地などから生み出されるマナがないとプレイできない為、本来土地カードは一番妥協してはいけないものと言われています。とは言っても、それだけ需要が高いカードが安く手に入るワケがありません。それをある程度考慮したのが今回の土地選択でしたが、モダンには15年もの歴史があるため、様々な土地が存在します。

新緑の地下墓地や吹きさらしの荒野などの通称「フェッチランド」は、起動型能力でデッキから直接土地を出すことができます。そして、その範囲は基本土地(沼や森など)だけでなく、該当する土地タイプを持つなら基本でない土地にまで及びます。この能力で、沼と森の土地タイプを持ち、黒マナと緑マナを両方生み出せる草むした墓を呼び出すのです。また、その草むした墓と相性の良い土地として、森林の墓地が挙げられます。このカードは沼か森がないとタップ状態で戦場に出てしまうため、出したターンにすぐにマナを生み出すことができません。しかし、草むした墓がいるなら話は別です。森林の墓地を戦場に出すときに参照する「沼か森」というのは、土地タイプのことであり、カード名としての「沼」「森」ではないため、草むした墓でもチェックをクリアすることができるのです。

 

 

最後に

 

いかがだったでしょうか。チャレンジャーデッキが半年で使えなくなると聞いて躊躇していた方も、それを元手にモダンに参入できるならばと思い切って購入してくだされば幸いです。そして僕とスタンダード、ゆくゆくはモダンで対戦しましょう!

ここからは自分語りになりますが、+1/+1カウンター活用カード、特にバリスタは僕のお気に入りです。僕は彼(?)を活かすためにスタンダードで黒緑巻きつき蛇を組み、そして今はこうしてモダン用に強化された黒緑鱗巻きつき蛇を使っています。皆さんもあの手この手でバリスタにカウンターを乗せ、10点のダイレクトアタックと10点のバーンダメージで気持ち良くなりましょう。別に黒緑じゃなくたっていいのです。白緑や青緑も+1/+1カウンター戦術が得意ですし、構築次第では(ほぼ)無色でもバリスタで大暴れできます。皆さんのオリジナル・スーパー・バリスタ・デッキをお待ちしてます。

それではまた次の記事でお会いしましょう。

(次どうしよう……MTGばっかだしそろそろ遊戯王の記事も書かなきゃダメだよな……しかもMTGMTGで紹介記事放置してるし……ふええ……)